医療の仕事に興味がある人は、調剤薬局で事務の仕事をするための資格を取ろうと考えることがあります。
でも、「調剤薬局事務の資格はあまり役に立たない」と言う人もいます。
本当にこの資格は、価値がないのでしょうか？
この記事では、調剤薬局事務の資格について詳しく説明します。
資格を取ることのよい点や、実際の仕事でどのように使えるのかを紹介します。
資格を取ろうと考えている人や、医療事務の仕事をしたい人に役立つ情報をお伝えします。
調剤薬局事務の資格は意味がないのか？
調剤薬局事務の資格の概要
調剤薬局事務の資格は、薬局での事務の仕事をスムーズにするための知識とスキルを証明するものです。
主な資格には以下のようなものがあります。
- 調剤薬局事務資格（日本能力開発推進協会が認定）
- 調剤事務管理士（技能認定振興協会が認定）
- 調剤報酬請求事務専門士
- 調剤事務実務士（医療福祉情報実務能力協会が認定）
- 医療保険調剤報酬事務士
これらの資格では、医療保険の仕組みや調剤報酬の計算、レセプトの作り方、薬の基礎知識など、調剤薬局の事務に必要な専門的な知識を学びます。
調剤薬局事務の国家資格との違い
調剤薬局事務の資格は民間の資格で、国家資格ではありません。
国家資格は法律に基づいて国が認定するもので、法的な効力や社会的な認知度が高いのが特徴です。
一方、調剤薬局事務の資格は民間の団体が認定しており、法的な効力はありませんが、業界内で専門知識を持っていることの証明として評価されています。
違いをまとめると以下の通りです。
- 認定する団体
国家資格は国、調剤薬局事務の資格は民間の団体 - 法律との関係
国家資格は法律に基づく、調剤薬局事務の資格は法律とは関係なし - 種類の数
国家資格は基本的に1種類、調剤薬局事務の資格は複数ある - 更新の必要性
国家資格は更新不要が多い、調剤薬局事務の資格は更新が必要な場合もある - 受験の条件
国家資格は厳しい受験条件あり、調剤薬局事務の資格は受験条件がないことが多い
調剤薬局事務の資格を持つことのメリット
それでは、調剤薬局事務の資格を持つことにはどんなよい点があるのでしょうか？
1. 就職・転職活動で有利になる
調剤薬局事務の資格を持っていると、経験がない人よりも就職・転職活動で有利になります。
資格は、専門知識やスキルを持っていることの証明になるので、すぐに仕事ができる人材として評価される可能性が高くなります。
2. 仕事を覚えやすくなる
資格を取るために勉強したことは、実際の仕事に直接役立ちます。
医療保険の仕組みや調剤報酬の計算方法、レセプトの作り方などを知っていると、仕事を覚えやすくなります。
3. 専門性をアピールできる
資格を持っていると、自分の専門性をアピールできます。
医療の仕事では専門知識が大切にされるので、資格は信頼できる証明になります。
4. キャリアアップのチャンスが広がる
調剤薬局事務の資格をきっかけに、医療事務全般や他の医療関連の資格にもチャレンジできます。
勉強を続けることで、さらなるキャリアアップが期待できます。
5. 自信が持てるようになる
資格を取ることで、自信を持って仕事に取り組めるようになります。
勉強して得た知識は、毎日の仕事の中で自分を支えてくれるでしょう。
調剤薬局事務の資格取得の実際
調剤薬局事務の試験内容と合格率
それぞれの資格の試験内容と合格率は以下の通りです。
調剤薬局事務検定試験
- 試験内容
学科試験：選択式の問題20問（医療保険の仕組み、薬の基礎知識など）
実技試験：調剤報酬明細書の穴埋め選択式の問題8問 - 合格の基準
学科・実技それぞれの合計点の60%以上 - 合格率
約89.5%（取りやすい資格）
調剤事務管理士
- 試験内容
学科試験：100点満点中70点以上で合格
実技試験：各問題50%以上かつ全体の70%以上の正解率で合格 - 合格率
約60%
調剤報酬請求事務専門士
- 試験内容
3級〜1級：級によって難しさが違う - 合格率
3級：約60%
2級：約30〜40%
1級：約20%
どれがいい？登録販売者と調剤薬局事務
医療の仕事をする上で、登録販売者と調剤薬局事務のどちらの資格を取ればいいか迷う人もいるでしょう。
登録販売者
- 仕事内容
薬局で薬を売る、お客さんに薬の説明をする、店の仕事全般 - メリット
薬を売る仕事に直接携われる
キャリアアップのチャンスが多い
資格手当でお給料が上がる可能性がある - デメリット
販売の仕事全般をするので、資格を活かせないと感じることも
実務経験が必要で、すぐに一人前にはなれない
調剤薬局事務
- 仕事内容
受付、レセプトの作成、調剤報酬の請求、薬剤師のサポート - メリット
経験がなくても始めやすい
安定した勤務時間
専門知識が身につく - デメリット
お給料がやや低め
薬に直接関わる機会が少ない
自分のキャリアプランや興味に合わせて選ぶことが大切です。
薬を売ったりお客さんと接したりすることに興味があるなら登録販売者、事務の仕事や安定した働き方を求めるなら調剤薬局事務が合っているでしょう。
調剤薬局事務の資格取得にかかる費用
資格を取るためにかかるお金は、受ける講座や試験によって違います。
通信講座の費用
- ユーキャン：39,600円
- ヒューマンアカデミー通信講座：42,900円
- 資格のキャリカレ：32,800円〜52,800円
- 日本医療事務協会：32,780円
- ニチイまなびネット：36,667円
通学講座の費用
- 日本医療事務協会：41,800円
- ニチイまなびネット：45,049円
試験費用
- 調剤報酬請求事務専門士：5,280円〜6,380円
- 調剤事務管理士：6,500円
- 調剤事務認定実務者：4,500円〜5,000円
- 調剤薬局事務検定：4,950円
全部で約30,000円〜50,000円くらいかかると考えておくといいでしょう。
自分で勉強する場合は、教材代と試験費用だけですむので、お金を抑えることができます。
調剤薬局事務の資格を活かすための実務
調剤薬局事務の求人状況
2024年現在、調剤薬局事務の求人はとてもたくさんあります。
- 求人数
全国で約33,000件以上 - 雇用形態
正社員、パート、アルバイト - お給料
正社員：月給約15万円〜30万円
パート：時給約1,000円〜1,500円 - 地域
都市部から地方まで全国各地 - 特徴
経験がない人も歓迎
学歴は問わない
福利厚生が充実している
調剤薬局事務のお給料事情
お給料は地域や経験によって違いますが、一般的には他の事務の仕事と比べてやや低めの傾向があります。
でも、医療の仕事は安定していたり、勤務時間が決まっていたりと、待遇面でのメリットもあります。
- 月給：約15万円〜25万円
- 年収：約200万円〜350万円
- 昇給：経験やスキルに応じて可能
調剤薬局事務の実務での活用法
資格を活かして実際の仕事で活躍するためには、以下のポイントが大切です。
1. 専門知識を活かす
資格で学んだ知識を、レセプトの作成や調剤報酬の請求などの仕事で活かします。
正しい知識があると、仕事の効率がよくなったり、ミスが減ったりします。
2. コミュニケーション能力を磨く
患者さんや医療スタッフとのスムーズなコミュニケーションが求められます。
接客マナーを大切にし、信頼関係を築くことが大切です。
3. 勉強を続ける
医療制度や調剤報酬の変更など、最新の情報を常にキャッチアップする姿勢が必要です。
研修や勉強会には積極的に参加しましょう。
4. チームワークを大切にする
薬剤師や他のスタッフと協力し、薬局全体の仕事の効率を高めます。
お互いに助け合う気持ちで取り組むことが大切です。
調剤薬局事務の資格は意味ない？まとめ
調剤薬局事務の資格は、国家資格ではありませんが、実際の仕事に直結した専門知識とスキルを証明する大切なものです。
資格を持っていると、就職・転職活動でアピールポイントになり、仕事をスムーズに進められます。
資格を取るには時間とお金がかかりますが、それ以上に得られるメリットは大きいと言えるでしょう。
医療の仕事でキャリアを築きたい人や、専門性を高めたい人にとって、調剤薬局事務の資格は決して意味がないものではありません。
資格を活かして実際の仕事で活躍し、患者さんやスタッフから信頼される調剤薬局事務員を目指しましょう。
勉強を続け、積極的な姿勢で取り組めば、あなたのキャリアはさらに広がっていくはずです。
